可触化とは
可触化とは、遠隔でもっと「伝える」「感じる」ことを可能とする技術です。
可触化デバイスとは
可触化を再現するユニットとなります。
遠隔操作に触覚を付与した制御を行い、微細からダイナミックなフィードバックを得られます。
さらには、直感的に触ることが可能となり、遠隔操作やコミュニケーションの更なる可能性を拡げます。
2022年国際ロボット展ではパラレルリンク型のデバイスを展示致しました。
詳細は下記紹介動画をご参照ください!
パラレルリンク型可触化デバイス(左:リーダー、右:フォロワー)
可触化デバイス 紹介動画
パラレルリンク型可触化デバイス:主要部品構成
モータ・ドライバ・コントローラ・メカ部品・電源周りの、非常にシンプルな構成で可触化デバイスはできております。
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型名 |
台数 |
製品名 |
備考 |
1 |
MDH-7018-21B
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12
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小型中空大口径 ダイレクトドライブモータ |
外径φ70mm、中空径φ25mm 分解能21bit、ピークトルク3Nm
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2 |
MC-200-7220D
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12
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小型サーボドライバ |
上位通信:SPI
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3 |
Raspberry Pi4 8G Model B
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2
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Raspberry Pi4 |
シングルボードコンピュータ 製品リンクはこちら(外部)
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※台数はリーダーフォロワー両方の合計
可触化やリーダーフォロワーにご興味ある方をサポート致します!
触って試してみたい!作りたい!こんなものを掴みたい!などのご要望から、
ご希望の可触化デバイスを試作開発致します!
リーダーフォロワー制御とは
マスタースレーブ(英:master-slave)制御の置き換え用語としての1つで、
「リーダー」を動作させると、「フォロワー」が協調動作をする制御です。
パラレルリンク型の可触化デバイスでは、リーダー側を手で操作し、フォロワー側が同じ動きをします。
さらにバイラテラル制御を搭載しており、フォロワー側で掴んでいる物の感触がリーダー側に伝わります。
よって直観的な遠隔操作が可能となっております。
バイラテラルとは?
“バイラテラル”とは、“二方向”という意味で、これまでの遠隔操作に多く用いられてきた
マスタ・スレーブ位置制御型の系を“ユニラテラル(Unilateral)”と呼ぶのに対して、
位置制御に力覚制御を付加してマスタとスレーブ双方を 制御する系を“バイラテラル(Bilateral)”と呼んでいる。
(引用元:
北海道立工業試験場報告「バイラテラル方式による力覚制御技術」)
遠隔地のフォロワーが受ける力を、操縦者(リーダー)が受け取ることを指し、(力触覚が操縦者にフィードバックされる)これにより操縦者がより直感的に操縦できるようになります。
リーダーフォロワー制御はどんなところで使われてるの?
例1 高枝切り鋏(機械式リーダーフォロワー)
切った感触を操作者が感じられるので「反力フィードバックあり」
例2 マウス(ポインティングデバイス)
マウスはリーダー、ポインタはフォロワー。 ポインタが画面端にぶつかってもマウスでは感じられないので「反力フィードバックなし」
例3 手術支援ロボット「ダヴィンチ」
リーダーフォロワーの応用例。 医師がリーダーを操作し、フォロワーがそれに従い手術します。 従来の手術では視野と施術範囲の確保から必要なだけ切開されていましたが、 視野は内視鏡で確保し、更にダヴィンチのフォロワー機工は人間の手よりも細く長く設計されています。 そのため必要な切開範囲が少なくなります。
例4 リアルハプティクス義手
リーダーはフットペダル、踏み込み量に応じてフォロワー(義手)が動作します。 義手で触れた力触覚がフットペダルにフィードバックされることで手加減することができます。
リーダーフォロワー制御で何ができる?
・遠隔操作
・テレオペレーション
電気的にリーダーとフォロワーが接続されていれば良いので、有線だけでなく無線接続でも動作します。
距離に比例して遅延が発生しますが、通信速度の向上により遅延は改善される方向です。
・動作の拡大、縮小:スケールドテレオペレーション/マイクロマニピュレーション
人間で直接扱えないようなミクロンオーダーの繊細な作業や、
何トンもの重量物をリーダーフォロワーシステムを介して行うことができます。
リーダーフォロワー(マスタースレーブ) システム構成例
学生が製作した反力フィードバックを有するマスタースレーブ ハンド
使用部品
①μDDモータ:MDH-4018-324KE ×2
②専用ドライバ:MC-110-4810 ×2
③マスタースレーブ 用ケーブル ×1
④電源48V ×1
⑤ハンドパーツ(3Dプリンタで製作)
組み立て手順
(1)モータとドライバをコネクタ接続する。 マスター用、スレーブ用の2セット
(2)ドライバ間をマスタースレーブ用ケーブルで接続する。
(3)電源を供給し、マスタースレーブ 可能が可能。
(4)ゲイン調整(位置決め精度や反力フィードバックを最適化するためのチューニング)
シンプルな構成で反力検出を有するリーダーフォロワーを構築可能な理由とは?
良好なバックドライバビリティ
外力により生じる出力関節の回転の度合いを示すもので、動力伝達機構や減速比などにより変化します。 一般に産業用ロボット・マニピュレータのようにこう減速比のギヤを用いると出力関節に現れる摩擦力や 慣性力が大きくなり、バックドライバビリティは悪化します。 高減速比ではバックドライバビリティは悪化するが、低減速比になるほどバックドライバビリティは改善します。
高トルク
減速機は主にトルクを増幅する目的で使用しますので、 低減速比化したいが、必要トルクに満たない場合は低減速化は叶いません。 高トルクだから減速比を小さくできます。 減速比が小さくなるとバックドライバビリティが向上します。 バックドライバビリティが向上すると、スレーブで受けた触覚を、操縦者が受け取りやすくなります。
最後に
少しだけ製品紹介にお付き合いください。
μDDモータは同サイズ比5倍の最大トルク。バックドライバビリティの向上に役立つはずです。
μDDモータを使用したリーダーフォロワー(マスタースレーブ)ロボット
3軸ロボットアームのマスタースレーブ
μDDモータとMCドライバのみで、反力フィードバック付きマスタースレーブアームを作りました。
MTL社内デモ機です。
リアルハプティクス義手
義手と足のペダル間で、双方向に力伝達=力触覚移植する義手です。筋電義手でのONOFF動作と異なり、絶妙な力加減が調整可能です。
ユーザ:慶應義塾大学 野崎研究室
7軸パラレルリンクマスタースレーブ
μDDモータでパラレルリンクロボットを作りました。
シンプル構成で摩擦が少なく、軽い操作感が特徴です。
MTL社内デモ機です。
細胞培養操作向け遠隔操作システム
ピペットの微細な操作を、触覚フィードバック付きで無線遠隔操作が可能となりました。
協働ロボット同士もマスタースレーブ動作をしています。
ユーザ:大成建設株式会社様
身体感覚を伝送する双腕型ロボット:GP-Arm
力触覚や視覚情報を、遠くの自分(ロボット)とリアルタイムで共有します。将来は自分がロボットとなり、位置情報のみならず、力加減や視覚情報をダイレクトティーチングできるようになります。
ユーザ:NEDO/慶應義塾大学ハプティクス研究センター
慶應義塾大学野崎研究室
Avatar Fishing -遠隔釣り体験-
東京都⇔大分県にてマスタースレーブ。
釣り糸の引張感、リールの巻取り抵抗がリアルタイムで感じることができ、大分名物鯛釣りを東京で体験できます。
釣った鯛は、航空便で翌日には届くサービスを検討中。
ユーザ:株式会社Re-al様
ANAavatarin様
参考資料
参考文献
ROBOTICS ロボティクス 日本機械学会
(著者名 一般社団法人 日本機械学会 発表年2011年9月15日 タイトル ROBOTICS ロボティクス)
https://www.jsme.or.jp/
参考リンク
東京医科歯科大学病院 手術支援ロボット「ダヴィンチ」徹底解剖
http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/davinci/charm/index.html
日本ロボット学会誌
ロボットとアクチュエータのバックドライバビリティ(岡山大学 鈴森康一氏)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jrsj/31/6/31_31_548/_pdf